「英語」について考えるための参考資料


英語は世界でどのように、だれによって使われているのか?

英語を使うのは、アメリカやイギリスに住んでいる英語のネイティブスピーカー(第一言語としての使い手)だけではありません。英語は現在の(そしておそらく21世紀も)「国際コミュニケーション」用言語で、世界ではあらゆる種類の英語が話されています。世界の共通語は、英語ではなく、それぞれのなまりのある、文法的にも必ずしも正確ではない「ブロークン・イングリッシュ」だと言われるくらいです。

1.世界ではだれが、どのような言葉を使っているの? 
             
http://members.tripod.co.jp/konnichiwa/100-ranking.txt より

★ 母語話者数(ふだんの生活にその言葉を使っている人)が多いのは (統計によっては20年前の数字なので、今はもっと多いかも) 

1位 

中国語

13億?

2位

英語 

3億9,000万

3位

スペイン語

2億5,000万

4位 

ヒンディー語

2?億

5位 

アラビア語

1億5,000万

6位 

ロシア語

1億5,000万

7位    

ベンガル語

1億5,000万

8位

ポルトガル語 

1億3,500万

9位

日本語 

1億2,000万

10位

ドイツ語

1億

11位

フランス語

7,000万

1位の中国語ですが、ここでは標準語(北京官話)だけでなく広東話、台湾話などの(中国政府から見た)方言も含んで います。方言の差も大きく、意思疎通ができない場合もあり、一つの言語に くくっていいのか、疑問視する人もいます。 スペイン語とポルトガル語は、本国よりも南米でポイントを稼いでいますね。サッカーの国際試合を見ていると、この2つの言葉が頻繁に登場します。 日本語は人口の多さでベストテン入りです。

英語のネイティブスピーカーは約3.9億人と、中国語に次いで世界第2位です。内訳は、イギリス(今の英語の発祥地)と、英語を第一言語とする人々が移り住んだアメリカ、カナダ、オーストラリアなどです。

次の表は、個人の単位ではなく国の単位で考え、公用語となっている国の人口で数えたものです。

★ 公用語話者数

1位 

英語

14億

2位

中国語 

10億

3位

ヒンディー語

7億

4位 

スペイン語

2億8,000万

5位 

ロシア語

2億7,000万

6位 

フランス語

2億2,000万

7位    

アラビア語

1億7,000万

8位

ポルトガル語 

1億6,000万

9位

マレー語 

1億6,000万

10位

ベンガル語

1億5,000万

11位

日本語

1億2,000万

12位

ドイツ語

1億

英語が中国語を抜いて1位です。さすが世界の共通語、全世界の人口の約3 分の1です。 フランス語が11位から6位にジャンプアップです。元植民地だったアフリカの国々でポイン トを稼いでいます。 ここでのマレー語にはインドネシア語も含まれています。 ジャワ語などが消えてしまったのは公用語ではないからです。

この中には、 第二言語としての英語の使い手が推定3億人近くいるとされています。
    − アフリカ諸国(例:ナイジェリア)、インド、シンガポール、フィリピンなど、国内や地域内でのコミュニケーション
       をはかるために使われる(国内で多数の言葉が話されているため等)。スペイン語系のアメリカ人など。

以上の国や言語をよく知らない人は、こちら へどうぞ。 日本の外務省のページです。各国・各地域について調べることができます。

2.どのような分野で使っている? 

(ディビッド・グラッドル著「英語の未来」、研究社、2000年1月7日付読売新聞記事「EU悩ます言語対策――拡大すれば公用語最大23に」、EU資料、関口一郎「『学ぶ』から『使う』英語へ」、集英社新書などを参考とした。)


● 国際機関・国際会議の通用言語

ある概算によると、国際機関の85%が使用言語のひとつとして英語を用いている(フランス語は49%、アラビア語・スペイン語・ドイツ語はそれぞれ10%未満)

− EUは加盟国が15カ国だったが、2007年に25カ国に増えた。これに伴い、公用語も11ヶ国語(デンマーク語、オランダ語、英語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、スウェーデン語)に、13ヶ国語(エストニア語、スロバキア語、スロベニア語、チェコ語、ハンガリー語、 ポーランド語、マルタ語、ラトビア語、リトアニア、ブルガリア、ルーマニア、アイルランド)が加わって、24ヶ国語となった。

11ヶ国語だけでも、すべての言語の組合せは110通りになる。たとえばフィンランド語・ギリシャ語間で直接翻訳・通訳できる人は少ないので、その場合は英語が中継語となることもあるようだ。11言語間のコミュニケーションを支える通訳・翻訳のスタッフは約3500人だったが、20カ国語だと、組合せは20×19=380通りになる。とてもこれには対応できそうにないので、英語を共通語にしようというプランもあるが、フランスなどは反対している。


● 国際法・国際条約

例:子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)

原文:
Part I, Article 1:For the purposes of the present Convention, a child means every human being below the age of eighteen years unless, under the law applicable to the child, majority in attained earlier.
Part I, Article 2-1:The States Parties to the present Convention shall respect and ensure the rights set forth in the Convention to each child within their jurisdiction without discrimination of any kind, irrespective of the child's or his or her parent's or legal guardian's race, colour, sex, language, religion, political or other opinion, national, ethnic or social origin, property, disability, birth or other status.

政府による日本語訳と 
九州の人たちが考えた九州の子どものためのバージョン 
http://www.i-kyushu.or.jp/~fcc/より)

第1条:この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く
1番目の約束 ;こんきまりでは18才にならんみんなを「子ども」っちいうったい。

第2条 1:締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する
2番目の約束 1.子どもは自分や親の生まれ、はだの色、男女の区別、ことば、信じる神様、考え方、お金、体のこと、生まれとかでは差別されんばい。


● 科学・技術の分野

ドイツ人が英語を自分たちの使用言語としている学問分野 
    物理学   98%    化学     83%    生物学   81%
    心理学   81%    数学     78%    医学     72%
    社会学   72%    経済学    48%    教育学   27%
    文学     23%    歴史学    20%    法学      8%

    物理学は、ほぼ100%英語


●  国際的な貿易・金融・経済業務(経済のグローバル化による)

●  国際間の安全対策(航空管制、海上通信など)

●  高等教育(自国語では高等教育ができない場合も多い)

身近な例を挙げてみると:

● 世界的な広告

● 映画、テレビ、音楽

● インターネット・コミュニケーション(当初は9割以上だったが、英語以外の言語を表示できるブラウザの発達にともない減少しつつある。とはいえ、情報量は英語が圧倒的に多い。)

● 海外旅行

中学・高校と6年間も勉強した英語は、十分使える。「英語はぜんぜんできない、使えない」と思っている人でも、たとえばロシアとか、タイとか、エジプトとか、現地の言葉を聞いても見ても全くわからない所に行って、そこに英語を話せる現地の人が現れたら、「地獄に仏」と思うはず(日本語が通じれば、もっといいけど〜)。


3.どのように使っている?


● 外国語としての英語の使い手同士で交流
    
たとえば日本人、中国人、韓国人、インドネシア人など、アジアの国々の人々が一堂に会して互いに意志を通じ合わそうとする場合、英語を使わざるをえない。

英語が国際共通語なのはなぜ? 
「英語が共通語として話されている地域、特にアジアの各国の多くは、かつて大英帝国の植民地であった背景を持っています・・・」


4.英語の将来

★ 単一の世界標準となるような英語が生まれることは当分なく、さまざまな英語の「多極的状況」が続くと思われる。

★ 世界に向けた最新の情報の多くは、英語で発信され続ける。



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